はじめに                                

年齢を重ねると日本の古き良き伝統により強く惹かれるようになるのでしょうか・・・とある古民家レストランで、そこに流れるゆったりした時間に魅了されてしまいました。

「いつかこんな暮らしができたら素敵だな」

古民家で暮らすことは、おそらく、暮らすことそのものがなりわい(仕事)になるのだろうと思います。

朝起きて、すべての雨戸を開け放つだけでも結構な時間がかかりそう・・・。
庭の掃き掃除や草むしりも日課になるでしょう。
食べるものも出来る限りは自分の裏庭で育てたものにしたい・・畑仕事もしなくちゃ!ですね。

で!決めました。60歳過ぎて、建築の現場から身を引いた後は古民家に住もう!と。

で!!『古民家鑑定士』なる資格があると聞き及び、無いよりあった方が役に立ちそう、ということで平成23年12月に、古民家鑑定士の資格を取りました。その後、古民家鑑定士協会埼玉支部の例会で、古民家の実態調査に参加させていただき、そこで、大変重要なことに気がついたんです!!(例会の様子はこちらのブログで)

古民家は今、瀕死状態にある!!今、手を打たないと良好な古民家は死滅する!!ということに。

良好な古民家を手に入れるにはあと10年が勝負        

  古い建物は、古民家に憧れる人にとっては宝でも、古民家の処分に困っている人にとってはゴミでしかありません。誰も住まなくなった古民家を放置しておくのは防災や庭の手入れの面等からも好ましくないので売って現金化したい、との思いがあります。当然のことながら、不動産市場的には建物に評価価値はなく、そこにどんな素晴らしい大梁や黒光りする大黒柱があっても!!骨董品と同じでそこに価値を見出す人にはお宝でも、一般の人には単なる古い木材なわけで。

 と言うわけで・・・価値があるのは土地だけ。

 でもちょっと待ってください。魅力的な古民家はたいていが郊外の田園地帯に建っています。私が住みたいとこだわっているのは上記写真のような農家住宅なので。

 こういった田園地帯の土地は、不動産として価値が極端に低い場合が多いのです。と申しますのも、「市街化調整区域」に属している場合が多く、この調整区域内では住宅の立替えは基本的に不可能なんです。ですから、不動産業者が手を出すわけがありません。土地を買っても住宅地として売れないのですから・・

「市街化調整区域」  都市計画法で市街化を抑制しようと定められた区域(良好な自然を守る)
「市街化地域」 同様の法律で市街化を推進しようと定められた区域(一般的な住宅地など)



 え?!では何故、今そこの農家住宅が建っているのですか?近くに新しい家もあるし。とお思いでしょうか・・。この調整区域では農家の分家のみに立替え新築が認められるんです。ですから我々のようなよそから来た者が、土地を購入して新築することはできません。

 そうしますと、なんとか処分したい古民家の所有者には打つ手が無い?!!

 そこで「古材流市場」というものが少しづつですが、機能し始めたようです。建物解体時に出る立派な梁や柱などの古材を流通に載せて売って現金化しよう、という考えです。捨てればゴミですが、流通させれば、それは商品になるのですから、それはそれで素晴らしいことですね。

 ですが・・そういううまい話はなかなかなくて。先日実態調査した古民家(上記ブログで紹介した案件)の場合、解体費用と古材の買取代金がいってこいでゼロなら(要するに持ち主の方の金銭的な持ち出しがゼロなら)、解体したいとのことでした。

 農家住宅・・・たいていの場合、母屋の他に納屋やら外トイレやら付属物がたくさんありますね。それと、敷地内には庭木や雑木などもたくさん。母屋とその周辺の付属物をすべて解体して処分(一部はもちろん古材として残す)し、庭木を伐採して更地にすると7〜800万円くらいかかりそう・・との試算。一方、古材の買取価格は高くても50万円くらいでしょう。採算が合うはずがないのです・・

 そんなこんなで、こうした古民家は処分するにもすることができず・・朽ち果てていくしかないのか・・一方で私のように古民家に住みたい!というニーズは間違いなく世の中にあるのに。今回実態調査した古民家は空き家になって4年目だそうです。人が住まなくなると家は痛みが急加速します。空き家になって5年を過ぎた古民家は価値も急激に落ちるとか。

 とすれば・・・10年後にはもう、良好な古民家は手に入らないかもしれません。焦ります。

古民家鑑定士の仕事・使命                      

 古民家鑑定とは・・現地調査して、「そのまま住み続けられる程度かどうか」を200以上の項目により判定します。鑑定料は3万円+交通費別途、鑑定料は鑑定士協会で決められていて、鑑定結果は協会より書面で届きます。
 危険度が高ければ、解体をオススメすることになるのですが、その際に古材市場にのりそうな梁や柱の価格の査定の相談にものります。

 ですが、鑑定士の使命はこれだけに留まってはいけないと思います。このままでは、良好な古民家が住む人を見つけられないまま朽ち果てていくだけです。その現状を打破して、売りたい人、住みたい人のマッチングこそ最大の使命なのではないでしょうか。

 現地調査の時にハタと思ったのです・・腐らせるだけなら、安く売って!!と(笑)

 古民家を買って住みたい、と考えている人は、買った状態そのままで住もうと考えている人はいないはず。古民家を購入して、快適にリフォームして住みたいと思っているのです。ですから、古民家をなるべく安く購入して、その分リフォームにお金をかけたい!と間違いなく思っています。ですから、今回実態調査した古民家(300坪の土地付)・・・300万円で譲ってくれれば、買いたいという人はたくさんいると思います。市街化調整区域と言いながら、生活も便利そうな地域でしたし(もちろん、車は必須)、JR熊谷駅まで車で20分程度、充分、首都圏通勤圏内です。

 所有者からみれば、解体すれば700万円以上の出費(しかも土地は売れない)、土地と建物ごと古民家好きに売れば300万円まるまる収入になり・・ぜったいこっちの方が理にかなっっていると思うのです。いわゆるWINWINの関係です。

 10年後に古民家を購入して、風情は古民家のままに!設備は新しくて冬暖かくて夏涼しい快適な住まい(もちろん、なるべく機械に頼らない工夫をたくさんして!)を実現したいと思う、一人の人間として、少しづつですが、こうしたマッチングのお手伝いができたらなぁ〜、それにはどうしたら良いのだろう?そんなことを考えながら、このページは更新していきたいと思います。

特に、我々建築に携わって入る者は、その古民家をどの程度の改修で現代民家として蘇らせることができるか?!を実務としてアドバイスできる立場にあるのですから。(2012..05.07)
古民家ねた その1  H25.01.04 
古民家ねた その2  H25.09.08
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古民家鑑定士として古民家に想うこと