東京都江戸川区

痴呆が徐々に進む母親と生活障害のある弟の世話という忙しい生活の中で、いかに自分の老後を楽しむか?
これからの高齢化社会にとって、他人ごとではいられない老々介護を視野にいれた住まいです。

自分の生活を楽しむゆとりがあってこそ、介護への意欲も湧きます。
趣味を楽しめるしつらいが我が家の中にあり、また、時には介護から逃避できる場所を確保する。
それは決して贅沢でも何でもありません。人が人に優しくなれる手助け、住まいはそんな秘めた力をもっています。

施主の唯一の楽しみが30年以上も続けている茶道。
生活の場である母屋から、玄関を隔てた静かな北庭に面している。
水屋も備え、日ごろの喧騒と憂さを癒やしてくれる本格的なしつらい。
点前座の中柱は、めったに市場に出回らないという桜。




<設計コンセプト>

母と弟は仲がよく、就寝も含めいつも一緒。二人とも自分のことは自分でできるので、
施主の目の届く範囲でお互い気ままに暮せることを一番に配慮にして設計した。
キッチン&ダイニングは大家族が集まってもゆったりできる大きなスペースを取り、
引き戸を隔てたその隣の居間は母親と弟専用のスペース。
二人は仲良く、毎日、一緒にテレビを見て過ごしている。
一方、施主が家事の合間に一服つけるよう、キッチンの横に4.5帖の茶の間を用意。
これで、無理なくつかず離れずの生活が可能に。



南側道路の恵まれた敷地。個室はすべて南側に配置し、日当たりと風通しを重視した。

太陽熱で床暖房をするOMソーラーを導入して北側の水廻りを含めた全館床暖房とし、高齢者の快適性に配慮している。


内外とも、桜の木のイメージで、やさしい和風にまとめている。

構造:在来木造2階建
敷地面積:334.83u(101.28坪)
建築面積: 115.92u(35.06坪)
延床面積:176.37u(53.45坪)
建築費:4200万円(78.5万円/坪)
家族:60代主婦+母85歳+弟58才+長女30代





障子を閉じてLDKから少し距離おくこともできる。

対面式のキッチンと続く、広々としたダイニング。全体の和風の雰囲気を大事にした。
テーマである桜をふんだんに使って。床・扉・ダイニングテーブルはすべて桜材。壁・キッチンの色も薄い桜色に統一してこだわった
キッチンのすぐ横の茶の間4.5帖は、主婦のくつろぎの場。手のかかる母親や弟の世話から開放されてしばし憩う時間こそが明日へのパワーの源!普段は開けっ放して広く使い、時には閉じて一人になれる。また、孫が遊びに来たときのお昼寝スペースとしても重宝。




キッチンからダイニングを介して、奥の居間(母・弟専用)を見る。
引き戸を開けておけば、ソファに座る母の様子がわかる。
今のところ、閉め切りで息子と二人だけのランデブーを楽しんでいる様子。
母・弟専用の居間の横には二人の寝室。二人はこの2部屋を自由に気ままに使う。万が一、母親が寝たきりになった場合には、居間を寝室としてベットを置く予定。正面の押入れの中には小さな洗面も用意済。この居間は南の庭に面しているので明るく気持ちが良いだけではなく、ショートステイなど外部の介護サービスを受けやすいように配慮している。



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